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②
そんな関係が4年位続いていて、俺はいつの間にか杏梨に惹かれていた。
人を好きになるなんてこと俺にはできないと思っていたからこの気持ちに気がついた時は驚いた。
絶対に叶わない恋だと諦めていた。
杏梨が求めてくれるならそれでいいと思っていた。
それで杏梨の苦しみが減るならそれでいいと思っていた。
ある日病院の勤務が終わって帰ろうと病院を出ると杏梨が待っていてくれた。
杏梨に連れられるまま病院の近くの公園に入ってベンチに座ると目の前にある桜が綺麗に咲いていた。
「ここの桜は優が好きだったんだ。」
「ここだと病院から見えたんじゃない?」
「ああ。」
いつもは俺の家に行くのに今日は違う。それだけで不安だった。もし今杏梨にこの関係を終わりにしようと言われたら俺は笑ってわかったと言うしかない。
どうかそれだけは……
「奏、もう辞めにしよう。」
まあ、嫌な予想っていうのは大概当たるものだ。
「そう、わかった…」
涙の1粒でも出たらいいのに、そんなものとうの昔に枯れている。
貴方が俺を必要としなくなったってことは優さんのことを乗り越えて次に進もうとしているということでもある。
笑わなきゃ、
後腐れも何もなく笑って応援してあげなきゃ、
杏梨の幸せを心から祈っているなら。
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