132 / 168

第132話

一方陽介の父は秀一と朔へ挨拶をする。 「どうも九条さん、ご無沙汰してます。 えっとこちらは奥様でいらっしゃいますか?」 「ええ、妻の朔です。 朔、こちら家の会社の社員で陽介君のお父様の村瀬貴弘さん」 「初めまして村瀬さん。 息子がいつも陽介君にお世話になってます」 「いえ、こちらこそ……… 初めまして村瀬と言います」 挨拶を終え少し談笑したところで希一と陽介の家族で別れた。 お互い家族水入らずで過ごしたいから。 陽介だけが少し憂鬱そうにため息を着いていたが…… そんな様子を生徒会室から見ていた雫。 「九条秀一様がいますよ。 貴方も挨拶に行かなくていいんですか? 希一様をくださいって」 「うるさい、余計なお世話だ」 クスクスと笑い声からかう雫に碧は迷惑そうにしっしっと手で払う。 しかし九条秀一……… 九条の中でもカリスマ性に優れており、尚且つ容姿も飛び抜けて良く非の打ち所がない。 そんな彼の息子を自分は好きになった。 「九条秀一、ねぇ……… 私、あの方少し苦手なんですよね」 ふと雫がそんなことを口にした。 「ほう、お前にも苦手な人物がいるとはな。 珍しい………」 「だって怖くないですか? あそこまで完璧な人……… 容姿なんて人形みたいに綺麗ですし」 まぁ、彼の言うことは分かるがそれは表だけで、家族の前では意外と無防備な姿を見せるのではと想像してみる。 それに九条家に嫁ぐ女性は知性や家柄は勿論、容姿もかなり重要視されるので彼が綺麗なのは当然なのだろう。 その息子である希一もとても綺麗なのだし。

ともだちにシェアしよう!