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第136話

「秀一さんの子息と親しくしていれば彼も養子の話を考えて下さるわ。 貴方は念願の九条家当主になれる」 「養…子……? 当…主……?」 彼らの会話をそっと聞き耳を立てていた希一は、なんの話しをしているのか理解できなかった。 しかしこの会話は明らかに自分にも関わる話でそのままもう少し会話を聞いていた。 「あの、母様……」 「ああ、大丈夫心配しないで。 何もΩと結婚しなさいと言っているわけではないわ。 婚約者はちゃんと貴方に相応しい娘をこちらで用意します。 ただ秀一さんが貴方を気に入ってくださればいいの。 それまで希一さんと親しくしているだけでいい いいわね?」 「僕は……」 養子の話しなんて今更忘れていた。 そんな物どうでもいいと…… ただ希一が好きで彼と一緒に入れるだけでいい。 それだけなのに…… 母の言葉を否定したい。 希一が好きなのだとここで宣言してしまいたい。 「返事は碧? いいわね?」 なのに…… 「はい……」 どうしても母に逆らうことができないのだ…… 「あの野郎、騙してたのか!?」 この会話を聞いてしまった陽介は怒りを顕にし、今にも襲いかかりそうな勢いで希一は必死に止めた。 「陽介いいからっ…… もういいから、行こう」 「けどっ」 「いいから、帰ろう」 結局希一の言葉に従うしかない陽介は彼とともにここから離れ会場へと戻る。

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