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第138話
ずっと我慢していた涙が溢れ止まらない。
そんな希一を陽介は抱き寄せて背中を擦った。
「つらかったな。
いっぱい泣けばいいよ」
沢山陽介の胸で泣いた希一は風呂に入った後すぐに寝てしまった。
泣き腫らした目が痛々しい寝顔に陽介はそっと指で目元に触れた後部屋を出た。
向かった先の部屋をノックすると雫が出てきた。
「陽介君、どうしたの?
もしかして俺に会いに来てくれたとか?」
「あり得ません。
俺はあんたじゃなくて会長に用があるんです」
どうしても納得出来ない陽介は碧の部屋までやって来た。
雫が碧に陽介が来たと知らせると碧から許可が降り彼を招き入れる。
すると陽介はいきなり碧に近付き彼の頬を殴った。
突然の出来事に唖然とする二人だが雫はすかさず陽介を羽交い締めにして押さえる。
「お前、何のつもりだ!?」
「何のつもりだと?
それはこっちのセリフだ!!
養子になるために希一を利用してたくせに!!」
「………っ!!」
「希一がどれだけ傷付いたかてめぇには分かんねぇだろうな」
養子の話しがバレていると碧の心臓がドクンと跳ねた。
何処で知ったのだろうと考えるが思い当たるのは一つしかない。
タイミング的に先程の母との会話だ。
まさか聞かれていたのか……
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