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第140話

翌日は学園祭の為振り替え休日だ。 希一はと言うと昨日泣き腫らした為か頭が重く何も出来ないような状態だ。 そんな彼に陽介は朝からずっと寄り添い。 甲斐甲斐しく世話をする。 希一はそんなに気遣わなくて大丈夫だからと言うが、見ていて痛々しくて何かせずにはいられない。 「ごめんね、陽介」 「気にすんな、お前は何も悪くない」 こんな風にした碧が許せない。 折角上手く行くと思ったのに。 そして次の日希一は体調も回復し授業に出席できたが未だ心は晴れないままで昼休みになった。 陽介と昼食を取り教室に戻ろうとしたとき、希一の前に碧が現れた。 「希一、少し話したい……」 神妙な面持ちでそう訴える碧。 でももう、希一の心は決まっていた。 「碧さん、俺は碧さんの事が好きです」 「………」 「でも、同時に苦しいです。 きっと碧さんもそうなんだと思います」 「希一?」 碧は優しい。 自分を庇ってくれたりとその優しさは養子になるためだとかではなくて本心なのだと彼と接していて分かる。 だからこそこんなにも苦しい。 そして…… 「苦しいのは俺のせいです」 「は?」 「俺がΩだからなんですよ。 だから碧さんを苦しめてる。 でももう、大丈夫です。 そんなに苦しそうな顔、もうしなくて大丈夫……… 別れましょう?」 「え………?」 希一の一言に周りが無音になり、碧は頭をかち割られたような衝撃を受けた。

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