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第143話
「…………」
「あの、志木さん。
会長何かあったんですか?」
唐突にそう投げ掛けられた質問に生徒会室のソファーで寛ぐ雫は碧を見た。
黙々と生徒会長の仕事をこなすが何か話しかけられない、ピリピリとした空気が漂っており苛立っている様子が窺いしれる。
希一から別れを告げられてから碧はずっとこの調子だ。
未だ希一に心があるものの何も出来ない現状に焦りがある。
「はぁ………」
だからこそ生徒会の仕事に没頭しているが、この苛立ちが抑えきれずに周りに威圧感を与えていた。
「……………」
完全にとばっちりを食らっている生徒会メンバーに雫は面白がってクスクスと静かに笑う。
そして生徒会の仕事を終えて寮へと戻った碧。
「雫、話がある、来い」
そう唐突に呼ばれソファーに座る彼の元へ足を運ぶと碧は雫に座れと言われ向かい側に腰かけた。
「なんです?」
「………僕は___」
希一を傷付けたのは自分の弱さだ。
だからこそいつまでも感傷に浸ってないで前を向かなければならない。
「……そうですか。
貴方がそうお決めになられたのなら私は何も言うことはございません」
「……意外だな。
お前のことだから否定するのかと思った」
「別に否定するようなことじゃ無いじゃないですか。
私は貴方と主と決めたときから気持ちは変わりません。
貴方に着いていきますよ」
雫の思ってもみない言葉に目を丸くした碧は、口角を少しだけ上げてそうか、と一言だけ発した。
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