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第144話
この日は休日。
希一は朝、馬の世話をしたあとに陽介とゆっくり寮で過ごしていた。
何処か出掛けるのもいいかと思うも特に行きたい場所もない。
だから今日は後で図書室に行こうと話していた。
実はここの図書室。
大型書店並に沢山の本が置いてあって読みたいものはほぼそこに揃っているのだ。
更には国家レベルで貴重な書物も置いてあるらしく希望があれば監視の元で見られるらしい。
希一と陽介はそこで勉強したり読書したりと、ゆったりした時間を過ごした
碧と別れて暫くは心がぽっかり空いたような喪失感のようなものがあったが、今は大分落ち着いて自然と笑えるようになってきた。
「そろそろ戻るか」
「そうだね」
気が付けば三時間ほど経っていた。
寮に戻ると二人の部屋の前に雫の姿があった。
彼もこちらに気が付き目が合うが、まともに目を見ることが出来ず思わず視線を反らしてしまった。
「こんなところで何してんスか?」
陽介が睨みながら彼に問う。
「希一様に少々お話があります」
「アンタと話す事なんてねぇよ」
「君には話してないよ陽介君」
陽介を軽くあしらうと雫は希一に少しだけ聞いて欲しいとお願いし希一もそれに頷いた。
「ありがとうございます。
では、お願いがあります。
実は____」
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