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第145話

この日、碧はとあるホテルにやって来ていた。 実はこのホテルは九条家が経営するホテルで、家具や装飾品等も九条ブランドになっている。 そのホテルの大きなホールでパーティーが開かれていた。 「いよいよ秀一殿が当主とは感慨深いですな」 そう、このパーティーは秀一が九条家当主に就任する為の九条一族のパーティーなのだ。 当然九条一族である碧もこの祝賀パーティーに出席していた。 「しかし秀一殿の後継者はどうなるのやら。 やはり碧か貴臣を養子に迎えるのか」 「どうだろうな。 秀一殿はそれを拒んでいるし、まさかΩのご子息に当主の座を渡すなどは」 「いやどうやら碧君が一番次期当主に有力だと聞きましたぞ」 皆この話しばかりで胸くそ悪くなる。 自分が当主に一番有力だと聞いても何の感情も湧かない。 むしろ罪悪感があるくらいだ。 だが一番嫌なのは希一を否定するような言葉を平気で口にしている事だ。 通常ならばこの大事なパーティーに主役となる秀一の妻が欠席などあり得ないのだ。 それもΩと言うことで皆が嫌な顔をするから秀一も彼を連れてこない。 けれど以前は自分も彼らと同じだった。 Ωを毛嫌いしていた。 だけどΩである希一と出逢ってその考えが180度変わった。 運命の番だと思ったのだ。 愛しくて可愛くて彼の笑顔が好きなのにあんな顔をさせてしまった。 全ては自分の未熟さ故。 「覚悟を決めろ僕」 もう後戻りは出来ない。 決めたんだ、自分のすべきことを全うすると。

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