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第147話
結婚して欲しい。
碧の突然のプロポーズに希一は勿論だが、この会場にいる皆が凍り付いていた。
「あ、碧っ!!貴方何を言っているの?」
一瞬何を言っているのか理解出来なかった碧の母、リアと父、広実が焦りながら駆け寄ってくる。
「碧、どういうつもりですか!?
冗談は止めて頂戴」
「母様、僕は本気です。
希一が好きです」
「なんですって?
ふざけないで!!
婚約者はこちらで決めてあるのよ?
貴方にふさわしい令嬢を」
何を勝手なことを言っているのかと母が責める。
そして一旦ここから出ようと母が碧の手を引くが碧は動かなかった。
以前なら簡単には屈していただろう。
それだけ母の存在は絶対的なものだった。
しかしこのままでは大切なものも守れないと。
初めて母に反抗した。
「僕はずっと九条家当主になることを目標としていた。
だけどもうそんなものどうだっていい。
僕の気持ちを受け入れてもらえないのならば勘当してくれて構いません。
九条家と縁を切ります」
「碧さん………」
別にそれで構わない。
九条家に拘る理由はないと思っている。
「この優秀な僕が一人でもやっていけないわけが無い」
九条家に頼らずとも自分の力で生きていけると自負している。
「おいおい、じゃあ次期当主はこの俺ってことか?」
この会場に来ていた当主候補の貴臣がそう発言するとリアの顔が引きつった。
今まで碧を当主にするために全力を尽くしてきた。
それなのにこんな形で無駄になるなんて冗談じゃないと思った。
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