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第149話
「お待ちください秀一殿」
秀一が出てきたところで丸く収まるかと思われたがそれに異議を唱える男性が現れる。
「お言葉ですがそれは碧殿を次期当主とすると言うことでしょうか?
だとしたらその次の当主は如何なさるおつもりですか?
あまり血統を軽んじられると周りが困惑致します」
「……それはΩの血が穢れていると仰りたいのか?」
「それは……」
男性の言葉に秀一の目付きが変わった。
「九条家当主は私だ。
私に従えないと言うのなら縁を切って頂いて構わない。
貴公方 とは今後一切関わる事はしません」
秀一の宣戦布告とも取れる威圧的な態度に周りは凍り付いた。
「秀一殿がそこまで仰られるのならば私 共は何も反対は致しませんので
どうか縁を切る事だけはどうか………」
秀一と言えば入社して間もない頃から有名だ。
最初はコネや七光と言った影口を言われたりしたが、彼の人柄や手腕を目の当たりにした同僚からも一目を置かれ会社を急成長させ今では社長へとのし上がった。
社員はおろか取引先などからの絶大な信頼を得ている彼が九条一族と縁を切るとなれば莫大な損失を被る事となる。
それだけは皆何としてでも阻止しなければと思った。
「そうか、ではこの話しは終わりにしましょう。
そもそもこのパーティーは私の祝賀パーティーです。
祝いの席で辛気臭い雰囲気では台無しです」
先ほどとは打って変わって柔らかな雰囲気を纏う秀一に周りも落ち着きパーティーの続きが始まった。
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