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第150話

秀一のお陰で何とかこの場は収まり壇上から降りた碧は秀一を追った。 「あの、お騒がせしてしまい大変失礼しました。 それとフォロー頂きありがとうございました。 本当はもっと違う形でプロポーズして挨拶に伺わなければいけなかったのですが、僕の心が弱いばかりにこのような事になりました。 本当に申し訳ありません」 碧は秀一に深々と頭を下げた。 こんなに頭を下げた事など初めてだと思う。 プライドの高い碧がここまでするのも全て愛する事を覚えたからだろう。 それはずっと傍で見てきた雫が一番驚いていて希一の存在はここまで彼を変えるのかと思った。 「顔を上げなさい」 頭の上から秀一の声が聞こえ恐る恐る頭を上げた。 「確かにこの場であれは相応しくは無いな」 「はい………」 「だが君の覚悟は伝わった。 希一を幸せにしてあげて欲しい。 そうじゃないと許さない」 「………はいっ!!」 秀一が自分を認めてくれた事に感極まりもう一度深くお辞儀をした。 そして彼に認められたからこそ彼に顔向け出来ないような真似は決してしてはいけないのだと言うことも自覚する。 それから碧は希一と別室へ移動した。 「こんなところに呼び出して嫌な思いまでさせてしまった。 悪かった」 「そんなっ…… まさかプロポーズされるなんて思ってなかったので嬉しかったです。 ありがとうございます碧さん」 涙を流しながら嬉しそうに笑う姿に心が満たされた。 ずっとこの笑顔を見ていたいと……

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