151 / 168

第151話

希一と二人きりのこの部屋で碧は先ほどの壇上での時と同じように片膝を着いてポケットに入れていた小さな箱を取り出した。 「もう一度聞いて欲しい。 これを受け取ってくれ」 「………っ!!」 箱を開けると大きなダイヤが眩しい綺麗な指輪がキラキラと光っている。 碧はそれを手に取り希一の左薬指に嵌めた。 ピッタリと指に収まった指輪を愛しそうに希一は眺めた。 「綺麗…… ありがとうございます。 とても嬉しいです。 でも、いつの間に…… サイズだってどうやって……」 「……そ、それは…… まぁ、何となくだ!!」 無理矢理誤魔化したが希一はそうなんですねと深くは突っ込まなかった。 本当は以前、まだ希一と付き合って間もないころ。 『希一様って華奢ですよね~ 抱き締めたら壊れそうと言うか。 あ、指のサイズなんて女性と同じですよ。 あれはね~』 などと雫が何故かしっかりと把握していたのだ。 あの時はイライラしていたが今となってはそれが助けになっているのだから雫のニヤつきが止まらない。 まぁ、今回だけは感謝する。 「希一、今度こそお前を守る。 お前が必要なんだ。 僕の妻となってくれ」 「はい、宜しくお願いします」 その言葉を聞いた碧はそっと希一に口付けをした。 触れるだけのキス。 だって緊張し過ぎている希一は唇を固く結んでいるからそれ以上は諦めた。 それでも熱い熱いキスだ。 「まぁあれだ、結婚と言っても二十歳になってからだ。 今はまだ僕は子供で未熟だ。 だから大人になってからまたもう一度ちゃんとプロポーズしたい。 待っててくれるか?」 「勿論です。 ずっと待ってます」

ともだちにシェアしよう!