何も言わなければ逆に希一が悩んでしまう。 いずれこう言うことも経験しなければいけないとなれば今言ってしまうべきか？ ｢なぁ希一｣ ｢……っ!!｣ 碧は自分の方を見上げた希一にキスをした。 ｢あ、碧さん、誰かに見られたら……｣ そう、ここは学校の廊下。 幸い今ここに人はいないが、もし誰かに見られたらと思うと希一は気が気でない。 ｢だったら僕の部屋に行こうか｣ ｢碧…さん？｣ いつもと違う碧に戸惑いながらも頷き、碧の部屋へとやって来た。 すると碧はベッドに腰掛け隣をポンポンと叩きおいでと希一を誘う。 隣に座った希一の頬に碧はそっと触れその手を首筋へと滑らせる。 ｢あ、あの………｣ ｢希一、お前はこうやって触れられてその先を求める事はないか？｣ ｢え？｣ すると碧の手は希一のシャツの鈕を一つ二つ外した。 碧の言う『その先』の意味をここで理解して顔が真っ赤になる。 別に意識しなかった訳ではない。 ただキスだけでも恥ずかしさが勝ってしまい『その先』を考えないようにしていた。 けれどやはり彼はそれを求めているのだと理解した。 ｢お前が嫌だと言うなら今はしない。 けどそれも考えていて欲しいと思ってる｣ 今はしないと言うが本当は今がいいのだと思う。 そして希一は覚悟を決める。 ｢いいですよ 今…そ、その………… だっ、抱いて……下さ…ぃ……｣ 恥ずかしさを押し殺してそう言葉にした事に碧は目を見開いた。 俯いて顔を真っ赤にさせながらも一所懸命言ってくれたのだと嬉しかった。 そして余計に愛おしくなる。 ｢……ああ、優しくするから｣