3 / 168
第3話
Ωの母、この人も自分と同じ男だ。
長い銀色の髪に優し気な目元。
自分の母で男だけどとても綺麗な人だと思う。
そして希一の父である九条秀一 は艶やかな黒髪に切れ長の目が特徴の美しい男性だ。
代々九条家はαばかりでこの国で名を馳せる名家で、そんな九条家の跡取りの希一の父、秀一は
聡明で美しく誰もが憧れる存在。
そしてその彼が妻として選んだのは希一の母、朔 だった。
だがαしかいない九条一族。
秀一の両親、つまり希一の祖父母はそれが許せないらしい。
希一も幼い頃会ったことがあるが気分の良いものではなかった。
祖父母の自分を見る目は厳しく今でも忘れられない。
それ以来一度も会っていなが正直もう会いたくない。
これから先のことはまだわからない。
けれどきっと大変なことになるんだろうなあと言うのは想像がついた。
それでも両親が支えてくれるから。
そして、家にずっと使えてくれていつも助けてくれた安藤棗 。
彼らがいたから乗り越えられたんだ。
そして月日が流れて希一は高校生になる。
4月からは親元を離れ寮に入る。
「ごめんね、こんな状態で。」
体の弱い母、朔は季節の変わるころになると体調を崩すことがよくある。
だから今日もベッドから家を離れる希一を見送る。
「大丈夫だよ。
行ってきます。」
すると朔は希一の顔を寄せて頬にキスをした。
「何かあったらすぐ連絡するんだよ?」
「うん、分かってる。」
そして父に玄関まで見送られて棗の運転する車で学校まで送ってもらった。
ともだちにシェアしよう!