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第6話
自分のクラスを確認した希一は緊張しながら中へ入る。
「お?希一同じクラスじゃん。
ラッキー。」
「あ、村瀬君。」
「陽介でいいよ。」
教室へ入るとルームメイトの村瀬がいた。
彼は既に他の生徒と打ち解けて楽しそうに談笑している。
羨ましいほどの順応力。
自分の席を確認して座って村瀬の様子を眺める。
すると彼が希一の視線に気づいてこちらへやってきた。
「ふぅ~なんかやっぱ希一の隣って落ち着くな。」
「なにそれ、それよりいいの?
皆陽介がこっち来てつまらなそうにしてる。」
「いいの、俺は希一のところに居たいの。」
「変なの。」
自分はどちらかというと根暗な方だし一緒にいても面白くないと思う。
それにΩだ。
彼はΩに偏見とかなさそうだが本当はどう思っているのか正直少し怖かった。
過去にΩだと知られいろいろあったから。
彼と話しているとチャイムが鳴り先生が入ってきた。
そして生徒一人一人自己紹介をすることとなり希一の番がやってきた。
「九条希一です。
よろしくお願いします。」
九条希一、名を聞いたクラスメートはざわついた。
希一は最初九条と言う名前に皆反応しているのかと思ったのだがそれは的外れだったようだ。
「Ωの?」
誰かが言った。
陽介が言っていた部屋割りに書いてあったΩの文字。
多分それで皆知っているのだろう。
「はい!!静粛に!!
次、自己紹介を。」
先生がクラスを落ち着かせ坦々と進んでいく。
けれど皆の視線は希一にずっと向いていた。
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