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第8話
寮に戻り陽介は疲れたーとベッドにダイブする。
今日は午前中だけだったが初めてと言うこともあって希一も緊張しっぱなしだった。
「あの陽介……ありがとう。」
「ん~?別に礼を言われるようなことしてねぇけどな。」
「でも、嬉しかった。」
Ωと言うことも彼は何も言わない。
それと同時に申し訳ない気持ちも沸き上がる。
自分のせいで彼が何かされないかとか不安になる。
するとそれを見透かしたかのように陽介は希一の傍にやって来た。
「そんな顔しなくていい。
お前は俺が守ってやるから。
必ずな。」
そう力強い眼差しで言われたのだがそれが何だか違和感を覚えた。
「陽介?」
「お前は俺の隣で俺を癒してくれればいいの。」
そう言って希一を抱き締めた。
なんだか誤魔化された気がするが考えるのは止めた。
彼を疑うようなことをしたくないから。
そして新たな生活が始まりこの日の放課後、希一はある場所に向かっていた。
陽介が心配して一緒に行こうかと言ってくれたが大丈夫だからと断った。
だがこの学校、広すぎて何が何処にあるのかよく分からない。
そして角を曲がろうとしたその瞬間、誰かとぶつかり尻餅をついてしまった。
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