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第12話

希一は碧が九条の人間だと知って恐怖心が襲ってきた。 だって九条家はΩをよく思って無いから碧に拒絶されるんだろうなと怖かった。 「やっぱり俺の存在は嫌、ですよね…」 そう聞いたものの彼の答えに怯え泣いてしまいそうになる。 しかし、碧の答えは意外なものだった。 「いや、僕は別に嫌だとは思わない」 「え?本当に?」 「あ、ああ……」 嫌だとは思わない…… 自分でもこんなことを言うなんてびっくりだ。 Ωなんてとそう思ってたはずなのに彼に関しては嫌悪感なんてないのだ。 寧ろ可愛いと、もっと知りたいと思ってしまった。 何故そう思うのか分からないが希一が碧の言った言葉に嬉しそうににっこりと笑う姿を見て可愛いなと微笑ましく思って、それはきっと弟を見るような感じなのかと納得した。 「それにしてもこの学校は広いですね。」 「まぁ、ここは全国で一番凄いかもな。 それに馬術部なんて特に広いスペースが必要だから結構離れたところにあるし。」 「そうなんですね。 でも、これだけ離れてると往復するだけで疲れちゃいますね。」 そう笑う希一につい見入ってしまう。 華奢な体、さらさらとした髪…… 触れてみたいなんて思って。 だが何を考えているんだと一瞬で考えを消して 会話に集中することにした。

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