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第25話
佐久間から指摘されたフェロモン。
Ωは望まない番にならないようにとそれを防ぐ首輪をつける者もいるらしいが正直それは窮屈だし、人として扱ってもらえて無いようで嫌いだ。
でも、身の安全を考えるとやっぱり必要なのだろうか……?
陽介と食堂で適当な席に着きながら彼に相談すると
「そうだな……
ま、お前が嫌ならする必要ねぇんじゃねぇ?
なるべく俺が傍にいるようにするし。」
「でもそれ陽介に迷惑かかる。」
「だぁから気にすんなって。」
そう話していると突然人がやってきて見上げると希一は驚いた。
「碧さん‼
どうしたんですか?」
そこにやって来たのは碧だった。
それと見慣れない男性も一緒にいる。
「初めまして。
私、碧様の側近の志木雫と言います。
以後お見知り置きを。」
「は、初めまして……九条希一です。」
いきなり現れた彼らに食堂全体がざわついた。
無理もない。
食堂に彼が来るなんてそうそうないことだろうから。
「食堂に来るなんてどうしたんですか?」
碧が言っていた。
ここに来ると周りが鬱陶しくて食事もままならないから昼は生徒会室で夕飯は寮の部屋で食べていると。
一度一緒に食べるかと碧を誘ったときにそう言っていたから今日はどうしたのだろうかと思った。
「いや、たまにはいいかと……
いいだろ、親戚なんだし。
文句あるか?」
希一はクスッと笑って、いいえと答えた。
雫にバレた以上こそこそするのもおかしい。
だったら堂々と希一に会ってしまえばいいと思った。
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