43 / 168
第43話
この日、大手企業や財閥が一同に会するパーティが開かれる。
そこには当然のように九条家も参加していて次期当主の希一の父、秀一もいた。
「久しぶりだね秀一。」
「………お久しぶりです
父様、母様。」
秀一の両親、つまり希一の祖父母二人とは暫く会っていなかった。
それは希一の母、朔と希一を快く思っていないからで極力会わないようにしている。
本当なら配偶者を連れてくるこの場に朔を連れてきていないのだってそれが一番大きい。
「あれの存在がどうしてか公に漏れてしまったようだ。
同じ学校の碧君が公言してしまったと噂があるがデマと言うことだそうだが。」
"あれ"と言うのは希一の事だ。
碧が言ったことはデマと伝えられていた。
「どうであれ我々九条一族はΩに九条家を継ぐ事は許さない。」
分かっていたがはっきり言われるのは気分が悪い。
Ωと言えど自分の孫だろうに。
秀一は眉間に皺を寄せると母が慌てた様子でこう言った。
「別に貴方に当主を譲らないなんて言ってないのよ?
貴方には何も問題なんてないんだから、勿論次期当主は貴方よ?」
つまり希一の代を誰がするのかと両親は言いたいらしい。
「言っておきますが以前から言ってるように俺は他に娶る気なんてありませんよ。」
朔を選んでからも両親はαの女性を紹介してきた。
勿論その気はないとその度に断っているがまだ納得していない様子だ。
「もう、何を言っても無駄なようだからそれは諦めた。
だから今日はその事で話がある。」
「?」
ともだちにシェアしよう!