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第44話
秀一には上に姉が二人いる。
九条家は代々男子が跡継ぎになるためようやく生まれてきた男子の秀一は、それはそれは両親に大切にされ溺愛されてきた。
今でもそれは変わらず両親は秀一が可愛くて仕方ないらしい。
だがその愛息子が選んだ相手がΩだったからかなり頭を抱えている。
「私たちもそれなりに考えた。
お前はどうあっても意見を変えないようだから。」
「だからね、貴方に養子を取って欲しいの。」
そう来たかと思った。
おそらく九条一族から養子を貰う。
その方がまだ体裁もいい。
「貴方のいとこ二人いるでしょう?
彼処のそれぞれの御子息の碧君か貴臣君どちらかをね、養子に……」
「申し訳ありませんがお断りします。
別に俺は当主に拘るつもりもありませんので誰に継がせるかなんて勝手にしてもらって構いませんし、朔と希一以外に家族は要りません。
話がそれだけなら失礼します。」
そうきっぱり断り秀一はその場から離れた。
実は少し前に碧の養子の話が上がっていた。
このチャンスを逃すまいと碧の母リアが例の公言した件を全力で揉み消した。
「全く貴方は一体どういうつもりか分かりませんが二度目はありませんよ?」
「……はい。
すみませんでした。」
イギリス人と日本人のハーフで元モデルのリアは息子である碧を厳しい目で見る。
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