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第45話
幼い頃から英才教育を受けてきた碧は傍系と言えど九条家の人間。
公に出でも恥ずかしくないようにと躾けられて育った。
しかし勉強でどんないい点数を出そうとも母のリアは褒めてはくれず厳しい言葉ばかり
で母に意見すらできない。
父は父で仕事人間で家にあまりいない上に母には頭が上がらない。
「いいですか?
父様でさえなれなかった当主に貴方はなるのです。」
「……っ
はい………」
祖父が次男であるが為に当主になることができなかった碧の家族。
だがΩの希一が生まれたことで巡ってきたチャンス。
その期待を一気に受けることとなった。
本当は当主なんてもうどうでもいいのに母を前にすると体が竦み逆らえない。
この日本当は秀一に碧を会わせると言う予定だったが秀一が断固拒否したために結局会えず
パーティも終わってしまった。
「お疲れ様です。」
碧を雫が迎えに来た。
「疲れた……
早く帰りたい……」
この日は実家に泊まり翌日学校へと戻る予定だ。
希一に会いたい……
でも会いたくない。
この養子の話しを知ってしまったら希一はどう思うだろうか?
嫌われてしまうのだろうかと怖くなる。
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