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第60話
え?
今なんて言った?
好きだと聞こえたのだが
「希一今なんて……」
「え?だから好きって……
碧さんも陽介と同じで大切で大好きな友人です!!」
「ああ、そういう事……」
「え?何?大切な友達の話じゃないの?」
「いや、そうだな、うん……
それでいいです」
普通この流れだったら告白だと思うはずなのだが
3人が思うよりも天然というか
恋愛に耐性がないのは碧以上のようだ
さて、どうしたものかと考える
ここははっきり恋愛対象として好きだと伝えるのか
だが、今の答えで大分撃沈されているのも事実
そこで陽介がこんな提案をする
「あ~…あの、俺たちの部屋来ませんか?」
「?」
「こいつ料理上手いんすよ
希一食べてもらったらどうだ?」
「え、俺が?」
この状態で何もしないというのは流石に
陽介の心が痛んだ
だったら部屋に招いてもう少し打ち解けてもらい
二人の距離が縮まればいいかなと思った
「俺そんな、上手くないよ
プロに教わったわけでもないし
あくまで趣味の範囲だし……」
「そんなことねぇよ
旨かったよあのカレー」
以前いつもお世話になっているからと
陽介が食べたいと言っていたカレーを作っていた
「僕は食べてみたい……
お前の作るカレー」
「……分かりました
あんまり期待しないでくださいね」
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