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第88話
具合が悪そうだと言う希一の元へ向かった朔
部屋に入ると希一は泣いていた。
「希一どうしたの?」
「分からない……
人が怖くて……
どうしたらいいのか分からない。
ごめ…なさ……」
そう泣きじゃくる。
朔もどうしたらいいのか分からずただ抱き締めて背中を擦ってやることしか出来なかった。
その日の夜朔は秀一と話した。
「対人恐怖か………」
「あの子戸惑ってた。
急にああなってしまって」
多分朔は自分のせいだと思っているだろう。
自分がΩだから希一もΩであんなことになってしまったのだと……
けれど朔に希一が言ったそんな言葉聞きたくないと言う言葉は朔の意識を変えた。
謝ってもどうせ何も変わらない。
逆に希一を追い込んでしまいショックを受けていた。
だから秀一はこれ以上朔にストレスをかけたくない。
ただでさえ体が弱いのにまた体調を崩してしまう。
結局家庭教師は止め秀一、朔、棗が希一に勉強を教えることにした。
学校に行かないし人が怖いから外にも出ない。
だからたまに山奥の別荘に出掛けたり、そんな中希一はたまたまテレビで競馬の中継を観ていた 。
「馬ってカッコいいなぁ。
乗ったら気持ち良さそう」
「それなら乗ってみるか?」
馬に興味を持った希一にすかさず反応した秀一はなんであれ少しでも興味を持てれば少しは外に出られるかもしれないと思った。
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