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第89話

秀一はすぐさま行動し馬を買った。 「え、買ったの?」 「ああ」 これに一番驚いたのは朔だった 。 庶民的な考えの朔はそんな簡単に馬を買うなんてやっぱり金持ちの考えることは分からないと思った。 この邸も庶民の朔に気づかい九条家にしては大きくないし使用人だって常に家にいるのは棗だけ。 それでも一般人とは大分違う生活だと思う。 でも馬を買ったお陰か希一は馬に夢中になり インストラクターとは何とか接することができてる。 それから少しずつではあるがフリースクールにも行けるようになった。 結局転校はせずそのまま在籍はしていたが、一度もその学校には行くことはなかった。 そんな中で希一は両親にこう話した。 「俺、聖雷に行きたい」 それを聞いた両親はびっくりしていた。 そこは誰もが知る名門校で両親も通っていた学校だ。 だけどその分入るのも難しいうえにここからは遠いから寮になる。 今の状態で大丈夫なのか心配なのだ。 「俺、学校には行けない分勉強してきたつもりだし、今の実力で何処までやれるのか試してみたいし、このままじゃだめだと思う。 もう少し自立できるようになりたい。 いろんな可能性広げたい。 チャレンジしてみたいんだ」 高校はどこに行くか迷っていたが、聖雷が一番自分の可能性を広げてくれると思った。 きっと大学に行くにも就職にも有利だ。 自分はΩだから尚更学力も必要でその為に出来ることは何でもやらないと生きていけないと思う。 誰も守ってはくれない環境だろうけど、どうせこれからも苦難だらけだと思うから慣れるしかないと割りきる。 それに馬術部もあるし何とかなると…… それに母は渋ったが父が希一の意思を尊重してくれて希一の進路が決まった。 そして見事合格しここへやって来た。

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