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第91話
八月末のこの日、ずっと話していた希一と碧で遊園地に行こうという話。
どうせなら遊園地をその一日貸し切りにしてしまおうと碧が言った。
「貸し切りですか……」
「なんだ嫌か?」
「いえ、昔家族で動物園に行ったときに父が貸し切りにしようと話してて、それに母はすごく反対していたのを思い出しまして。
結局母が周りに迷惑がかかるからって説得して貸し切りは止めたんですよ」
「ふ~んそういうもんなのか?」
「父は不服そうでしたけどね」
いまいちピンと来ていない碧。
しかしこの大金持ちの会話はスケールが違うと陽介は苦笑いをする。
碧はその話を聞いてじゃあ貸しきりは無しと決めた。
だが遊園地は沢山の人が集まる場所。
そんな中で二人きりにしてしまうのは危険だと雫と陽介は思う。
なんせ九条家の二人。
何処で何が起こるか分かったもんじゃない。
「申し訳ありませんが私も同行させて頂きます。
何かあっては困りますから」
「………」
そう答える雫にやっぱりそうだよなと碧は溜め息をついた。
せっかく希一と二人きりになれると思ったが、彼がいたんじゃムードもクソもない。
そんな中で希一がこんなことを言い出した。
「じゃあ陽介も一緒に行こうよ。
みんなで行った方が楽しそうだし」
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