97 / 168

第97話

遠慮してか希一はほんの少ししか食べなかった。 「美味しいですね。 ありがとうございます」 「もういいのか?もっと食べてもいいんだぞ?」 「でもそれ碧さんのだしあまり食べてしまうのは…… じゃあ碧さんも俺の食べますか?」 良かったら食べあいっこしましょと自分のを碧へ差し出した。 ごく自然にしてきたから少し戸惑った。 こう言うことは友達でも普通にするのか。 それとも自分が特別なのか判断はつかないが、正直物凄く胸がときめいた。 だってこれは……… 間接キス……… 「もしかして要らないですか?」 中々食べないから希一が申し訳なさそうに眉を下げ、無理強いしてしまいすみませんと謝る。 「い、いや、そうじゃない 本当にいいのかと………」 「勿論ですよどうぞ!!」 悲しげな表情から一変満面の笑みで再びソフトクリームを碧に差し出した。 そしてそれに碧は口を付けた。 「どうですか?」 「ああ、美味い」 そう言うと良かったと微笑んだ。 誰かと食べ物をシェアするなんてきっと母ならはしたないと激怒するんだろうな。 実際自分もそう考えていたのに今は寧ろ楽しいと思えるから不思議だ。 自然と碧の顔から笑みが溢れる。

ともだちにシェアしよう!