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第98話
「陽介君も抹茶食べる?」
二人を見ていた雫が陽介に自分達もどう?と聞いてくる。
「結構です」
「つれないなぁ~君は」
ちょっかいを出してくる雫を軽くあしらいながら陽介はさっさと食べてしまった。
ソフトクリームを食べ終わった後次はどこ行こうかと話していると、雫がじゃあそこはどうですかと提案してきた。
「お化け屋敷ですか……?」
雫の指さす方を見てあまり乗り気でない様子で答える希一。
「お前こういうの苦手?」
陽介がそう聞くと大丈夫と言う。
取りあえず入口のところまで来たがやはり怖いのか、陽介の服の端を掴んで笑顔がない。
「怖いなら止めとくか?」
「大丈夫だよ。
せっかく来たんだから楽しまないと」
そうは言うけどこれは明らかに怖がっている。
それでも頑固な希一は中へと入っていった。
「真っ暗……」
するといきなり長髪で顔を隠した白いワンピースの女があ゛ぁ~と呻き声をあげ4人の前に現れた。
「うわっ!!」
希一は思わず隣にいた碧に抱き着いた。
そんな彼に碧はそっと肩に手をやった。
「大丈夫だ。
どうせ作りもんだ。
何も怖がることなどない」
「はい……」
そう凛と言葉にする碧がとても逞しく、頼りになる人だなと希一は感じた。
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