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第99話
希一は碧に肩を抱かれながら進んでいった。
途中お化けが彼らを襲ってくるも、碧はこんなものはただの作り物だと分かっているから全く動じず逆にお化け役の人達の方が戸惑っていた。
そんな碧に希一は凄くドキドキしていた。
いや、お化け屋敷の恐怖にもドキドキしているんだろうが、それよりも碧がお化けから自分を守るように抱き寄せていることが今までにない緊張感が押し寄せてくる。
そして気が付いたら外に出ていた。
それと同時に碧の手が希一から離れていく。
それが何だか名残惜しいと感じてしまった。
どうしてだろうか……
「大丈夫か?」
「はい………」
何故だかこの時はまともに碧の顔を見ることが出来なかった。
こんな気持ちに戸惑いながらも次のアトラクションを楽しみあっという間に陽も傾いてきた。
「最後はやっぱ観覧車かな?」
「ベタっすね」
雫が楽しそうに語る横でクールに答える陽介。
「ベタなのもいいよ。
こう言うの俺好きだな」
「だってよ陽介君」
希一のその言葉に雫はニヤニヤと陽介を見る。
本当に飄々と人をからかうこの顔は腹立つ。
陽介は雫を睨んだ。
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