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第102話

観覧車で最後ということで4人は帰宅の途に就いた。 けれど楽しかったはずなのに希一は浮かない顔をしていた。 それを気にするように碧も表情が硬い。 これは何かあったなと、もしかして碧が告白でもしたかと2人は察した。 そのまま特に会話はなく寮に戻った。 けれど陽介が話しかけてもは希一上の空。 一体何と言われ何に悩んでいるのか…… なんとなく想像はつくが…… 「で、お前は何に悩んでんだ?」 「え?いや、何でもないよ」 「嘘つけ‼ どうせ自分なんかが会長と付き合うなんていいのかとか考えてんじゃねーの?」 「え…え?な、なんで……」 なんで考えていることがわかるのか、なんで告白されたと知ってるのか、希一はそんな顔をしている 本当に分かりやすい。 「会長がお前に惚れてんのなんてずっと前から 皆知ってることだぞ? つーか気づいてないのお前だけだからな?」 「嘘!?」 「嘘ついてどーすんだよ。 あの人本気だよ。 本気でお前のことが好きなんだよ。 お前はさ、いつも自分のこと下に見てっけど、俺も含めそうじゃないやつっていっぱいいるんだよ。 だからさお前の自分なんかって言葉は悲しくなる。 だから自分を卑下すんな」 陽介の言葉は重く心に突き刺さった。 ずっと自分はオメガなんだからと思っていた。 だってみんないい顔をしないから。 でもそうじゃない人はちゃんといて、自分という存在を見てくれる。 俺はほんの少し己惚れてもいいのかな?

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