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第110話
秀一からのお願い、それは……
聖雷高校でβとして息子の隣にいてほしいと。
Ωの希一のことが心配で誰かに守ってほしいらしいが、このことはきっと希一は過保護だと怒るだろうから内緒で。
それと適任なのが陽介しかないと頼んできた。
聖雷はαは一人部屋な上にクラスも別だから、希一にこのお願いがばれないようにβと偽って欲しいと……
そしてクラスも寮の部屋も同じになるよう秀一が手を回すつもりなんだとか。
陽介は彼がこんなに親バカだとは知らず驚いたが、これで彼の役に立てると二つ返事でOKした。
でも後になって分かったのは希一がいじめを受けていた事実。
何も言わない希一だからまた同じようなことがあったらと不安だったのだと理解した。
そして陽介はβと偽り希一の傍にいて、秀一に希一の様子を電話やメールで伝えていたのだ。
「ごめん希一……
俺お前に嘘ついてた。
でもお前と一緒にいて楽しかったのは事実だ。
途中からは秀一さんに言われたからじゃない。
俺自身でお前の傍に居たいと思ってる。
これだけは信じてくれ」
今にも泣きそうに言う彼に希一はそっと頬に手を添える。
「俺はどんなことがあっても陽介を信じてるよ。
こっちこそごめんね。
父さんがそんなことしてるなんて知らなくて。
陽介を苦しめて……ごめんね……」
ああもう……本当にこいつは……
優しすぎるんだよ………
秀一には申し訳ないと思いながらも本当の事を言えて気持ちがスッキリした。
でも
「お前自分の事を責めるなよ?
そんなことは俺は望んでないからな」
希一が自分を責めないように………
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