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第112話
「希一俺の気持ちを聞いて欲しい」
そう言って陽介は希一の前に跪いた。
「陽介?」
「俺はお前の側近として傍にいたい」
「え?側近?」
彼を見てきて感じたこと、それは危なっかしい。
方向音痴な上に本人は無自覚のようだが、容姿はとても綺麗だから襲われかねない。
現に中学でも未遂だがあったようだし、守らなければならないと思う。
そしてもう1つはやはり彼といて楽しい。
この穏やかな性格に料理が上手くて、話していて癒される。
碧は恋人として彼といるのかもしれないが、一日中傍に居ることはできないだろう。
だから自分は碧がいない間この笑顔を守れないかと考えたのだ。
「俺は貴方に忠誠を誓います。
どうか傍に置いて貴方を守らせてはくれませんか?」
「あの………」
いきなりの事で戸惑う希一。
でも彼の目は真剣で沢山考えての答えなんだろうなと思う。
「俺は陽介のこと好きだしそう言ってくれて嬉しい。
でもそんな風に畏まらないで欲しいな。
陽介とは友達として居たいから」
「じゃあ友達として接すれば側近として置いてくれるか?」
「陽介が望んでくれるなら」
その答えに陽介は希一の手を取りその手にキスをした。
「仰せのままに我が主」
そう陽介から言われた希一は照れくさそうにはにかんだ。
そしてすぐにお互い耐えきれずに、クスクスと笑いあった。
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