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第116話

碧は有無を言わせず希一の手を取り無我夢中で走った。 そしてゴールするも惜しくも2着。 この内容に戸惑ってしまって時間を費やしてしまったのだ。 そして碧が拾った紙に書かれた内容が読み上げられた。 「大切なあの娘。 おっとこれは誰もが気になる疑問ですが……… 連れてきたのは女の子ではなく男 それになんと九条希一君ではありませんか。 会長これはどう言う………」 「僕にとってはここにいる者で一番大切な親族だが?」 「えっと……ここにはあの娘、つまり女の子と言う意味なのですが……」 「そんなもの僕にはいない」 「ああ……そう、ですか…… まぁ、大切なと言うのは間違っていないので、OKと言うことにしましょうか」 希一は大切な人に自分を選んでくれたことに凄く感動した。 いくら付き合っているとはいえ男同士な上希一はΩだ。 バレてしまったらと思うとそれでも自分を大切にしてくれる碧がますます好きになる。 「碧さんありがとうございます」 「別に普通だろ」 照れ臭そうに言う碧だが希一の言葉はとても嬉しかった。 素直になりきれないが希一はちゃんと理解しているのか嬉しそうに笑う。 そして後半の陽介のリレーは運動神経のいい彼の猛烈な追い上げで一位になった。 本当に陽介はなんでも器用にこなすと希一は感心する。 そして希一と陽介のいる赤組が勝利し体育祭は終了した。

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