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第119話
「はいはい、今日は皆さんご存知だろうけど
学園でやる流鏑馬をね練習します」
この日は弓道部が乗馬を練習するため馬術部にやってきて、馬術部部長の佐久間が挨拶と説明をする。
「そこで、1年には弓道部に乗馬を指導してほしい。
2,3年は弓道の練習。
そこからそれぞれの部から3人を選抜します。
あと、全体の流れを3年が率先して選抜組への指導をよろしくお願いします。
説明は以上だが何か質問ある人いる?」
佐久間が質問はないかと問うと弓道部の一人が手を挙げた。
「はい、君、」
「あの、1年から乗馬を教わるということは
あのΩから教わるということですよね?」
弓道部の阿部裕司 が希一を見てそう質問する。
如何にもΩが嫌いだという表情を向けてくる。
そんな彼の言葉にその場にいる皆がざわついた。
彼に同調する者も中には居たり、希一と仲良くしてくれている馬術部の人は怒って今にも喧嘩になりそうな雰囲気になっている。
希一は自分のせいでそうなっていることに申し訳なくて、自分を庇ってくれる人に大丈夫だからと伝えるも納得いかない様子だ。
そんな時にぱんっと手を叩く大きな音がした。
「はいはい静粛に‼
大声出すのはみっともないよ」
一触即発のこの場を鎮めようと佐久間が間に入る。
「けど部長、こいつら九条を‼」
「だからと言って同じ土俵に立つのはバカのすることだ」
「でも………」
佐久間の言うことは尤もだがこれではやられっぱなしだと反発する声が上がる。
「別に俺が何もしないなんて言ってない。
九条はウチの大事な部員だ。
その大事な部員を侮辱する者はここから出て行って構わない。
以上だ、異論は受け付けない」
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