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第120話
異論は受け付けない。
佐久間がピシャリと一言言うと、皆その静かな怒りに何も言えなくなり黙ってしまう。
これが佐久間と言う人物だ。
温厚で普段から皆の事をよく見ていて優しく接してくれて、とても頼りになる先輩。
そんな温厚な佐久間を怒らせてしまった。
端から見ればそうは見えないだろうが、抑揚の無い声だけで怒っているのだと、その場にいる皆が感じた。
そして決して逆らおうと思えない雰囲気を漂わせていた。
「さて、始めようか」
先程とは打って変わって何時もの佐久間へと戻る。
本当にこの人には敵わないのだと改めて理解した。
弓道部に乗馬を教えると言うことになり希一は。
阿部や希一を嫌がっていた人以外に着いていた。
「えっと、先ずは馬と心を通わせて下さい。
馬と一心同体になるのが一番大事だと思います。
なので沢山声をかけてあげて下さい」
まだ一度も乗馬を経験してない者には基本中の基本から教える。
馬への跨がり方、手綱の握り方、動かし方を
分かりやすく説明する。
「踵で蹴ると動いてくれます。
結構強く蹴って大丈夫です。
寧ろ弱いと気づいてくれないので……
馬が歩いている時、手綱を手前に引かないように気を付けて下さいね。
馬が止まっちゃいます…………」
こんな感じで初日は終わった。
馬を厩舎へ戻し片付けも済ませミーティングを終えた後、希一は佐久間の元へ向かった。
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