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第121話
「あの佐久間部長!!」
先程庇ってくれた彼にお礼と迷惑を掛けた謝罪をしないとと、佐久間の元へやって来た。
「九条、大丈夫だった?」
「はい、あの………すみません、迷惑かけて」
「ストップ!!」
謝る希一を制した佐久間。
そんな彼に希一は首を傾げた。
「謝っちゃダメ。
俺も部員も迷惑なんて思ってない。
当然の事をやって謝られるのはなんか違うと思う」
「あっ………」
希一は以前食堂で碧が自分を身内だと言ってくれたときの事を思い出した。
謝ることは庇ってくれた人を否定することだ。
こう言うときは謝るのではない。
「あの、ありがとうございました」
感謝を伝えるんだ。
「うん、じゃあ帰ろっか」
佐久間は何時ものように方向音痴の希一を寮へと送り届けた。
その次の日、希一の元に弓道部部長だと言う
五十嵐亮平がやって来た。
昨日弓道部の一人が馬術部での出来事を報告したのだそう。
「昨日、うちの部員が大変な無礼を働いたようで申し訳なかった」
そう深々と頭を下げられたじたじになってしまう。
「頭を上げてください。
先輩が悪い訳じゃないですし、俺は大丈夫ですから………」
「これは君が許しても許される事ではない。
阿部は君だけじゃない。
Ω全てを傷つける発言をしたのだから。
そして彼等を教育出来ていない俺の責任だ。
本当にすまなかった……」
「いえ、今日はわざわざありがとうございました」
とても男らしく真面目な人。
そして正義感の強い人なんだなと言うことが分かる。
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