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第123話
そんな感じで準備は少しずつ進んで行く一方で
希一はそろそろ発情期を迎えようとしていた。
抑制剤を打てば副作用で寝込むのは必至。
そうなれば学園祭の準備など皆に迷惑をかけてしまう。
「どうしようかな………」
陽介や碧に相談してみるもそれくらいゆっくり休んどけばいいんだよと言われるだけ。
どうにか休まず準備や乗馬の練習指導をやりたいのだがやはり無理だろうか………
仕方ないから体調がマシな日だけでも参加するしかない。
そう思ってた頃父から電話がかかってきた。
『希一、お前そろそろ発情期だろう?
それでなんだが、お前がいいというのなら試して欲しいものがある』
「試してほしいもの?」
父が言うには新しく開発された抑制剤があるらしい。
それを試してみる気はないかということだ。
従来のものは注射だったものが今回開発されたものはカプセルのもので飲むタイプ。
ただ発情期の間は1日に2回服用しなくてはならないらしい。
だが、こちらは副作用がなくなるかもしれないから希一にとってはこちらの方がいいのではと父は言う。
確かに副作用が無くなるのならその方がいい。
むしろそうしたい。
その旨を伝えると父はすぐさま薬を送ってくれた。
「へぇ、こんなのあったんだ」
保健室に抑制剤が届き陽介と取りに行くと養護教諭の先生が出してくれた。
「この抑制剤、九条君のお父様が副作用のない薬の開発をいろんなところに呼びかけてたみたいだよ?」
「え?そうなんですか?」
Ωが軽視されるこの世の中。
わざわざ一部のΩの副作用のために薬の開発なんて
誰もしてこなかった。
だが九条家次期当主である希一の父、秀一のお願いに周囲も動かざるを得なかったのだ。
自分のために働きかけてくれた父に希一は感謝し、後でまたお礼の電話をかけなくてはと思った。
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