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9 入社一年目12月。
『山崎!!ちょっと。』
急に部長に呼ばれて驚いた。
慌てて駆け寄ると、部長が口を開く。
『お前、彼女いんのか?』
『なっ…』
思わず言葉に詰まってしまった。
部長がなぜそんなことを…?
しかも仕事中に?
俺の心臓はドキドキと鳴り止まない。
『いるのか?いないのか?』
『い…いません。』
『よし!!じゃぁ決定!!』
『は、はい?』
『彼女いないってことは、お前クリスマス暇だろ?』
『暇っていうか…空いてはいますけど…』
『クリスマスに研修だ。頑張れ。』
『えっ!?』
『毎年一年目を対象にした研修があるんだが、今年はクリスマスにブチ当たってんだよ。で、最初は佐藤にしようかと思ったんだけど、アイツ結婚を前提に付き合ってる子がいるみたいでな…可哀想だろ?』
『は、はい…』
『で、お前は彼女がいない。と、いうわけで決定。』
まぁいいか…
実際予定も入ってないし、入る予定もない。
『でな、毎年先輩と一緒に行ってもらうんだが…天野!!』
『なんですか?』
『お前クリスマス空いてる?山崎と一緒に研修…』
『すみません。俺、予定が…』
『くっそぅ。そしたら、小宮!!!お前クリスマスは!?』
『空いてますけど…』
『OK。山崎と研修な。よろしく。』
『はい。』
ちょっと待った。
今自然な流れすぎてついて行けてなかったけど…ん?整理しよう。
クリスマスに研修になりました。
天野さんに付き添いを頼みました。
断られました。
小宮さんに付き添いを頼みました。
OKが出ました。
!?
えっ!?
クリスマスに小宮さんと研修!?
そして2人きり!?
これ夢じゃねぇよな!?
頭の中でグルグルと考える。
『んじゃ、頼むな。』
『はい。』
落ち着いて返事できてたかな?
俺の心の中はウキウキワクワクで飛び跳ねていた。
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