14 / 147

14 入社一年目12月。

『……ということで、君たち一年目には頑張っていただきたい。以上。』 最後のお偉い方の挨拶も終わり、解散となった。 本社での研修が終わり、近くのホテルで懇親会が開かれる。 俺と小宮さんはこのホテルに部屋を取ってあるので、先に荷物を置きに部屋に寄る。 『山崎、18時にロビー集合。で、いい?』 『はい!!』 『じゃぁ、お疲れ。』 そう言って小宮さんは部屋に戻ってしまった。 同じ部屋…なわけはなく、少し期待していた自分が恥ずかしい。 壁一枚を隔てた向こうに小宮さんがいるのか…と少しドキドキする。 俺、本当女子だ… 今は、17時半。 18時にロビーと言われたので少し荷物を整理することにした。 俺本当子供だな…と自分が持ってきた荷物を見ながら思う。 お菓子にゲーム、トランプって… いや、泊まりと言えばトランプだよな? 自分で勝手に納得してカバンに戻す。 携帯を見るとメールが届いていた。 『天野さん?』 受信BOXには天野さんの名前。 なんだろう?と思いながらメールを開く。 《デートは楽しんでますか?俺、ナイスパスだっただろ?頑張ってシュート決めろよ!!》 なぜにサッカー用語? そう思いながらもう一度読み返す。 デートって… じゃなくて、その後だ!! ナイスパスだっただろ?って…どういう… あっ!!もしかして!! 俺は慌てて天野さんに返信メールを打つ。 《ナイスパスって、もしかして天野さんわざとですか!?》 するとすぐに返事が来た。 《正解!!今日予定なんてなんもねぇよ。》 やられた… いや、やってくれた? これはありがとうというべきか?? 《ありがとうございます。》 こんな返事変かな? 《お!!やる気満々?頑張れよ!!報告待ってる!!》 やる気満々って… そんなつもりはないけれど、いや、あるのか? とにかくこの旅行(研修)で小宮さんと仲良くなれるように頑張ろうと心に誓ったのだった。

ともだちにシェアしよう!