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18 入社一年目12月。
今日は朝からも少し研修があり、昼の新幹線で帰る予定だ。
『うわ!!さみぃ〜』
研修も終わり駅まで歩く。
12月の風はすごく冷たくて、雪もチラついていた。
『今日はクリスマスかぁ。』
街はクリスマス一色で、小宮さんがそれを見て言う。
ここは聞くチャンスか?
そう思い、俺の口は勝手に動く。
『こ、小宮さん…昨日イヴだったのに、彼女とかよかったんですか?』
『俺、彼女いねぇよ。』
『えっ?』
いないの?
今、いないって言ったよね?
うん、言った!!
俺の心は歓喜に包まれる。
『お前は?』
『お、俺もいないですよ!!』
そのアピールに力が入る。
いや、アピールしたところで…って感じなんだけどな。
『俺たち寂しいのな。』
そう言いながら笑う小宮さんの笑顔が可愛い。
いや、かっこいい…
もう完全に見惚れてしまって、自分の重症さを思い知る。
父さん、母さん、ごめんなさい。
孫は諦めてください。
心の中でそう謝った。
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