20 / 147
20 入社一年目12月。
帰りの新幹線はしっかりと隣同士で心の中でガッツポーズをした。
間に邪魔するオバさんもいなくて、色々な話ができたはず…
なのに…俺のバカ。
どこからかわからないけど、いつの間にか寝てしまっていたようで、小宮さんに起こされた。
『山崎、起きろ。着いたぞ。』
『あっ…えっ…えぇっ!!』
『ヨダレ垂れてる。』
そう言いながら小宮さんが笑っていて、慌てて口元を拭う。
ヨダレも恥ずかしいけど、なんで寝てしまったんだ俺は!!
自分を呪いたくなる。
せっかくの小宮さんとのプライベートな時間が…
いっぱい話すチャンスあったのに、俺のアホ、ボケ…
新幹線を降りながら色々考えていると小宮さんが言う。
『近々、飲みに行こう。』
『ふぇ?』
驚きのあまり、思わず変な返事をしてしまった。
『ふぇってなんだよ。嫌か?』
そう言って小宮さんが笑っている。
嫌なわけないじゃん!!!
『行きます!!!喜んで!!!』
すごく気合の入った俺の返事に小宮さんが苦笑している。
『よかった。じゃぁまた声かけるな。気をつけて帰れよ。お先。』
小宮さんはそう言って帰って行った。
俺の心臓はドキドキと鳴り響いて、とどまることを知らなかった。
ともだちにシェアしよう!