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32 入社二年目12月。
『山崎!!』
『なんでしょう?』
そう言って部長に駆け寄る。
『今年もクリスマスに研修だ。お前は城田の先輩として付き添いな。よろしく。』
『部長…それ、俺に彼女がいないこと前提で話してますよね?』
『ん?いるのか?』
『いや…いませんけど…』
『なら、よし!!決定!!』
俺いつからモテないキャラだったかな…と少し寂しくなりながら返事をして自分の席に戻った。
『部長!!』
俺が席に座ると同時に小宮さんが部長の元へ駆け寄る。
『その研修、俺に行かせてもらえませんか?去年も行ったし、かなり勉強になったので…』
『まぁ、お前が行きたいと言うのなら俺は構わんが。付き添いは誰でもいいしな。』
『ありがとうございます。』
『山崎!!さっきのなし!!代わりに小宮が行くから。』
『は、はい!!』
俺は返事だけして考える。
なんで?
面倒臭い研修に自分から名乗りを上げるなんておかしい…
クリスマス…研修…城田と…
あっ…
城田とクリスマスに二人きりになりたいということか…
勝手に自分の中で解決して、勝手に落ち込む。
俺、気持ちも伝えないまま失恋しちゃった…
その日は立ち直ることもできなくて、定時で仕事を切り上げて帰ったのだった。
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