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33 入社二年目12月。

『僕、先輩がよかったのに。』 城田にそう言われ、なんだか少し寂しくなる。 明日の研修でコイツと小宮さんが… 勝手に想像して泣きそうになった。 『先輩?聞いてます?』 『あっ…ごめん。』 『大丈夫ですか?顔色悪いですよ?』 『大丈夫、大丈夫。』 全然大丈夫じゃないけど。 『小宮さんって怖いですか?』 『な、なんで?』 『いや、なんか雰囲気が怖そうだなって…なんでも完璧にこなしちゃうし。』 ほんとあの人は何でも完璧にこなしちゃうんだよ… そこもかっこよくて… じゃなくて!!! 『怖くない怖くない。むしろ優しい方だと思うけど?』 『そうですか…』 なんだか意味深な返事をする城田が気になったが、明日の二人のことを想像するとまた気分が悪くなる。 『ごめん、やっぱ体調悪いかも…お先。』 そう言って、俺は会社を出た。 家に着き色々と思い出す。 あれからもう一年か… 去年の今頃はワクワクドキドキして荷物詰めてたっけ。 思い出してちょっと笑ってしまったが、なんだか寂しくなった。 新幹線での出来事や、二人で寒いと言って外を歩いたこと… ちょっとしたことまでをも思い出し、俺は涙を流す。 俺、小宮さんのこと…こんなに好きだったんだ… 心の中にぽっかりと空いた大きな穴がとても寒かった。

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