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46 入社二年目1月。小宮side
『小宮さん、ちょっといいですか?』
なんか機嫌の悪そうな城田に呼び出された。
『なに?』
『単刀直入に聞きますけど、山崎さんとなんかありました?』
『はぁ?』
『なんか山崎さんの様子がおかしいんですけど。』
『なんで?』
『なんでって…新年会の後片付け手伝ったんですよね?その話をした途端に山崎さん、顔は真っ赤になるわ、言葉に詰まるわでバレバレだったんですけど。』
『顔が真っ赤?』
『そうですよ。付き合ったんですか?』
『いや。付き合ってないけど。』
『じゃぁ手は出してないってことですよね?』
『あぁ。出してない。』
俺たちはこの前の研修の時に正々堂々と勝負することを約束した。
付き合う前に手を出さないこと。
酔った勢いや、酒の力を借りないこと。
この約束を必ず守らなくてはいけない。
それは、俺たち二人は真剣に山崎が好きで、大切にしたかったからだ。
『ならいいですけど。』
そう言って城田は行ってしまった。
今の城田の話を思い出す。
山崎が真っ赤?
真っ赤になるということは、俺に脈があるということだろうか?
男性に恋をするというのはハードルがとても高いということを知った。
本当に慎重に行かなくてはならない。
下手をするとフラレるどころか、同性を好きになるなんて。と軽蔑されるに違いない。
だから俺は気持ちを伝えられないでいる。
いつかこの気持ちを伝えられる日は来るのだろうか…
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