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47 入社二年目3月。
今年度ももう終わりに近い。
人事異動は今年もなさそうでホッと一息つく。
また一年小宮さんと仕事ができる…
それだけで幸せだった。
相変わらず新人は何人か辞めて行き、その中でも残っている城田はえらいと思う。
成績もなかなかのもので、優秀な後輩を持ったことを誇りに思う。
と、同時に俺も頑張らないと…と気合いを入れ直す。
『先輩。』
『どうした?』
『今日って空いてます?』
『うーん。18時からアポが入ってるから、それ終わりなら空いてるけど?』
『本当ですか!?じゃぁそれ終わりに僕の奢りで一緒にご飯行きませんか?一年間お世話になったし、お疲れ様会も兼ねて。』
『おっ、いいね。だけど、俺の奢りな。後輩に奢らせるわけにはいかないから。』
『さすが先輩!!かっこいいですね!!』
『だろ〜。』
俺はそう言いながらニシャニシャと調子に乗る。
『じゃぁまた終わり次第連絡下さい!!僕はたぶんそれまでに上がってると思うんで。』
『了解。』
そう言って俺たちは別れた。
久しぶりの城田との飯にワクワクする。
二人でなんて大学以来だな。
そう言えば小宮さんとの約束はどうなったんだろう…
あれからもう一年以上は経つ。
「近々飲みに行こうな。」
そう言われた時の小宮さんの顔が忘れられない。
二人で飲みに行くことができたらその時は…
俺は気持ちを伝えられるのかな?
まだ叶わぬその夢に少し寂しくなった。
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