47 / 147

47 入社二年目3月。

今年度ももう終わりに近い。 人事異動は今年もなさそうでホッと一息つく。 また一年小宮さんと仕事ができる… それだけで幸せだった。 相変わらず新人は何人か辞めて行き、その中でも残っている城田はえらいと思う。 成績もなかなかのもので、優秀な後輩を持ったことを誇りに思う。 と、同時に俺も頑張らないと…と気合いを入れ直す。 『先輩。』 『どうした?』 『今日って空いてます?』 『うーん。18時からアポが入ってるから、それ終わりなら空いてるけど?』 『本当ですか!?じゃぁそれ終わりに僕の奢りで一緒にご飯行きませんか?一年間お世話になったし、お疲れ様会も兼ねて。』 『おっ、いいね。だけど、俺の奢りな。後輩に奢らせるわけにはいかないから。』 『さすが先輩!!かっこいいですね!!』 『だろ〜。』 俺はそう言いながらニシャニシャと調子に乗る。 『じゃぁまた終わり次第連絡下さい!!僕はたぶんそれまでに上がってると思うんで。』 『了解。』 そう言って俺たちは別れた。 久しぶりの城田との飯にワクワクする。 二人でなんて大学以来だな。 そう言えば小宮さんとの約束はどうなったんだろう… あれからもう一年以上は経つ。 「近々飲みに行こうな。」 そう言われた時の小宮さんの顔が忘れられない。 二人で飲みに行くことができたらその時は… 俺は気持ちを伝えられるのかな? まだ叶わぬその夢に少し寂しくなった。

ともだちにシェアしよう!