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48 入社二年目3月。

『お疲れ様です!!』 『お疲れ!!』 その言葉と同時に二人でグラスを合わせる。 『あれ?城田ノンアル?』 『そうなんですよ。今日はちょっと…』 『この後なんか予定あるとか?』 『いや、そういうわけではないんですけどね…』 『そっか。』 なんだか意味深な城田の返事が気になったが、今日は久しぶりに二人で飯ということでそんなことはお構いなしに酒を飲む。 『先輩がこの会社にいてくれて本当によかったです。僕は先輩がいてくれたからこの一年頑張ってこれたんですよ!!ありがとうございます。』 『なんだよ、改まって。』 城田の言葉がなんだかこそばゆい。 それと同時になぜか頭に小宮さんが浮かんだ。 俺が頑張ってこれたのは小宮さんがいてくれたからだなぁ…と思う。 城田と意味合いは違うかもしれないけど。 こんな時にまで小宮さんが頭に浮かぶなんてな…と少し笑ってしまった。 まさか自分がこんなにも小宮さんのことが好きだとは思ってもいなかったからだ。 確実に好き度が増している。 クリスマスの研修の時に、城田とのことを考えて涙を流したが、今はそれ以上だ。 『本当先輩には感謝してます。だから今日はめいっぱい楽しみましょうね!! 』 そう言われ俺は頷く。 『お前本当えらいよ。ノルマもこなすし、俺もいい後輩持ったなって鼻が高いよ。』 そう言うと城田はエヘヘと頭を掻いた。 大学時代の思い出話や、なぜこの会社に就職したのか、普段では話せないことをたくさん話した。 時刻は0時を廻ったところだ。 『もう0時かぁ。城田、帰る?』 『ちょっと待って下さい。』 城田がそう言うと同時に店内の電気が消えた。 『なに!?停電!?』 俺は焦って周りを見渡す。 『先輩、お誕生日おめでとうございます。』 そう言われ出てきたのはケーキで… 運んできてくれた店員さんにもおめでとうと言われた。 『えっ?』 俺は驚きのあまり言葉に詰まる。 携帯を見ると3月20日、俺の誕生日だ。 自分が忘れていたこともあり、ただ呆然としてしまった。 『あれ?間違ってます!?うそ!?』 俺のあまりの呆然さに城田が焦り出す。 『違う!!じゃなくて、あってるあってる!!俺、誕生日だ!!自分でも忘れてたからびっくりして…』 そう言うと城田が満面の笑みを浮かべた。 『改めて、おめでとうございます。』 『あ、ありがとう。』 素直に心から嬉しくて涙を流しそうになった。 店員さんも戻って行き、城田に促されるままにロウソクを吹き消す。 こんな風にロウソクを吹き消したのは何年ぶりだろうか。 誰かに祝ってもらうことがこんなに嬉しいことだなんて… 『本当にありがとうな。』 そう言うと急に城田がかしこまった。 『先輩、僕じゃダメですか?』 『えっ?』 『僕は、先輩の大切な人にはなれませんか?』 俺は驚きのあまり固まってしまった。

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