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53 入社二年目3月。

『急に悪かったな。本当に大丈夫だったのか?』 『大丈夫ですよ。今日はアポも早く終わったし、久しぶりに早く帰ろうと思ってただけですから。』 『ならよかった。何食う?』 『じゃぁ、俺はオムライスで!!』 『OK。俺はパスタにするわ。すみません!!』 小宮さんが店員さんを呼んで注文してくれた。 酒もなしということで近くの洋食屋にやってきた。 少し時間が早いこともあってか家族連れが多い。 『山崎。』 『はい。』 『お前、今日誕生日なんだってな?』 『えっ?』 『おめでとう。』 うわ… どうしよう。 不意をつかれたお祝いの言葉に涙腺が緩みそうになる。 『あ、ありがとうございます!!』 グッと堪え、なんとかその言葉だけ言えた。 『お前、いくつになった?』 『えっと、22で会社入ったんで…24ですね。』 『24かぁ。どおりで俺も年を取るわけだ。』 『小宮さんって今いくつですか?』 『俺?俺は32。もうオッサンだな。』 『全然オッサンじゃないですよ!!すごくかっこいいし!!』 あっ… 言ってからしまったと思った。 かっこいいって…下心ありの意味で言ったんじゃないんだけど、どう思ったかな… 『かっこいい?嬉しいよ。ありがとう。』 大丈夫そう?かな? 俺はハハハと笑ってその場を流した。 『あのな…コレ…』 小宮さんが自分のカバンをガサゴソと探っている。 俺は、なんだろう?と頭にハテナを浮かべてその様子を伺う。 『…!?』 出てきた物は小さな箱だった。 『しょうもない物だけど…誕生日プレゼント。』 そう言いながら箱を渡され、俺は驚きと嬉しさのあまり言葉が出なかった。

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