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78 入社三年目11月。

結局お泊りさせてもらうことになり、もう一本映画を見たり、話をしているうちにあっという間に夜になった。 お互いシャワーも浴びて、テレビを見ていた。 『お腹空いてる?』 『いや、あんまり…』 『だよな?つまみと酒でいいか?』 『はい!!』 乾杯をして缶ビールを飲む。 そう言えばまだ誕生日おめでとう言ってないな… そう思い、おもむろに立ち上がるとキッチンに向かって歩く。 『どうした?』 『ケーキも食べませんか?』 『あっ…そうだった。』 俺はケーキにローソクを立てて準備する。 火をつけて机まで運ぶと小宮さんが喜んでくれた。 『なんか人に祝われるのって嬉しいよな。』 『そうですよね。俺も小宮さんに祝ってもらえて嬉しかったです。』 そう言って俺も席につき、恥ずかしながらもハッピーバースデーの歌を歌う。 ロウソクを消すように促すと小宮さんがフゥーっと吹き消した。 『小宮さん、お誕生日おめでとうございます。』 『ありがとう。本当に嬉しいよ。』 『あの…プレゼントなんですけど…』 『ん?』 『何がいいかわからなかったんで、今度一緒に買いに行きませんか?何か欲しい物あります?』 『山崎。』 『はい。』 『じゃなくて…山崎が欲しい。』 『えっ?』 何が何だかわからなくて固まった俺の腕を小宮さんが掴む。 『山崎が欲しいんだけど…まだダメ?』 そんな顔で言われても心の準備が… かっこいいような可愛いような… そんな顔で見つめられたら俺…頷いちゃうよ… 『山崎…』 『いい…ですよ…』 言ってしまった。 小宮さんが俺の髪を撫でながら唇にキスをする。 触れるだけの優しいキスは俺の緊張を溶かして行く。 『俺…今日はストップかけれないかも…』 それだけ言うと小宮さんは俺の唇を塞いだ。

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