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95 入社四年目4月。
四年目となりました。
後輩も増え、任せられる仕事もたくさん。
営業のノルマも相変わらず多いけれど、頑張れる。
左手の指輪をそっと撫でた。
あの日、あれから小宮さんとお互いを確かめ合い、指輪を付けた手を絡ませながら眠りについた。
たった一つの小さなリングにこんなに助けられるとは思ってもいなかった。
なぜだか小宮さんが近くにいると思える安心感と、優越感。
小宮さんは俺のものだと言っているようでとても嬉しかった。
天野さんにだけは指輪の事情を話した。
というか、すぐに目についたようで向こうから突っ込んできたという方が正しいかな?
『山崎、おはよ。』
『天野さん、おはようございます。』
『今日から引き継ぎ終わりの新しい先輩がくるってよ。』
『あっ!!西野さんですね。』
『そう。なかなかのやり手なんだよ。』
『そうなんですか。天野さんは一緒に仕事したことあるんですよね?』
『そうだな。俺が入った時は西野さんここにいたからな。』
そんな会話をしていると朝礼の時間になり、部長の挨拶が始まった。
『えー、小宮が異動になり、代わりに配属になった西野君だ。名古屋の支店ではずっとトップを走っていた人間だ。厳しくみんなを指導してもらうからな。』
部長がそう言うと、西野さんの肩を叩いた。
『初めまして。西野巧(ニシノ タクミ)です。これからよろしくお願いします。』
一礼した西野さんを見る。
小宮さんとは違ったかっこよさで、女性に人気がありそうだ。
西野さんを見つめるオバ様達の目がキラキラしている。
身長も高いし、かっこいい、おまけに仕事もできて…ってどんだけいい所持っていくんだよ。
小宮さんの代わりということもあって、俺と接することも多くなる。
俺たち営業は、地区ごとにいくつかのグループに分かれている。
そのグループが入社した時から小宮さん、天野さん、佐藤、俺で、その後城田が増えたけど、自然とその小宮さんの抜けたポジションに西野さんが来るわけで…
『これからよろしく。』
スタスタとこちらに歩いてきた西野さんが俺たちに挨拶をする。
『よろしくお願いします。』
俺たちも挨拶して席に着いた。
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