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97 入社四年目4月。小宮side

『急に呼び出して悪いな。』 大阪への帰り、会社を出る前に天野を呼び出した。 『いえいえ、いいっすよ。アポもないですし。』 『ちょっと話があってな…』 『山崎のことですか…?』 『まぁな…。お前は俺たちのことを知っていると山崎に聞いているんだが…』 『そうなんすよ。俺は山崎が小宮さんに片思いしてる時から知ってます。』 『えっ?そんなに前から?』 『そうですよ。態度がバレバレなんで突っ込んだら白状しました。なんか尋問っぽかったっすけどね。』 そう言いながら天野が笑っている。 『俺たちのこと引いたか?』 『いや…まぁ、男同士っていうのを初めて生で見たんでビックリはしましたけど、引いてはないですよ。たまたま好きになったのが男ってだけですもんね。』 山崎もいい先輩を持ったな…と安心する。 天野になら話をしても大丈夫かな? 『あのな…西野のことなんだが…』 『それ、俺知ってますよ。バイセクシャルってことですよね?』 『お前ほんと話が早いよ。それがちょっと心配でな。』 『うーん。まぁ、山崎が西野さんになびくことはなさそうですけどね…』 『それならいいんだけどな…』 『でも西野さんって気に入ったやつは絶対手に入れるとか聞きましたけど…』 『………そこに山崎がピタッとハマるとマズイな…』 『まぁ、俺が監視じゃないですけど、様子見ときますよ?』 『悪いな…』 話を終えると天野は事務所へ戻って行った。 天野の言う通り山崎が西野の元へ行くことはないにしても、西野は必ずと言っていいほど欲しいものは手に入れる性格だということは同期の俺が一番よく知っている。 山崎のことを気に入るかどうかは別として警戒しておいてもいいかもしれないな… 大阪と東京じゃ守りたくても守れない。 左手の薬指を見るが、一応東京に来る時にはみんなに怪しまれるからと俺が外すようにしているので光るものはない。 こんなもので山崎を守れるわけもないのにな… 少し溜息をつきながら会社を出たのだった。

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