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98 入社四年目4月。
『山崎君。』
『はい。』
西野さんに呼ばれ駆け寄る。
『名古屋から東京に戻ってきたらこっちの様子がだいぶ変わってしまっててお客さんのところを回るのも一苦労なんだけど…ちょっとの間同行いい?』
『いいですけど…』
返事をしながら仕事熱心な人だなと感心した。
まだ慣れないから〜とか言いながらボチボチ回ればいいのに、俺に同行頼むなんてすぐにでも慣れたいということかな?
手元を見ると地図やら保険の資料やら必要な物が綺麗にファイリングされていてキッチリした性格なのだな…と思った。
『悪いね。』
『いえ。それよりも同行俺でよかったのかなって…』
『なんで?』
『いや、道案内ぐらいなら俺できますけど、同行するならもっとできる佐藤とか天野さんとかいたのにって…』
『いいんだよ。というか、部長が山崎君は頑張ってるって言ってたよ。君もできる方なんだろ?』
『いや、そんなことないですけど…』
なんて言いながらも褒められるのも悪くないなと頭を掻きながらニヤニヤする。
『今日夜時間ある?』
『今日ですか?』
『うん。今日もこうやって同行してもらったし、これからももうちょっと世話になると思うから礼も兼ねて飯どうかな?って。』
『あっ…そんなの悪いですよ!!』
『いいのいいの。後輩と仲良くなるのも仕事の一つだし。』
『なるほど。じゃぁ…』
そんなこんなで西野さんとご飯に行くことになり、いつもより早く仕事を終わらせた。
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